2012年2月6日午前11時49分、フィリピン国ネグロス島Negros Oriental県でマグネチュード6.9の地震が発生(USGS 2012)し、特に島の南東沿岸部おおよそ南北34kmに渡り建物や橋、病院を含む社会インフラの倒壊、地すべりや電気、飲料水供給の停止などライフラインを含む被害が発生しました(Amity Vol. Fire Brigade 2012)。比国政府は、災害時における即応諸行動の総合調整を行うNational Disaster Risk Reduction and Management Council[1](以下「NDRRMC」)や市町村役場を介し、地震発生後の午後12時31分までには避難指示を伴わない津波警報を発令しました。Negros Oriental県やCebu島西岸部では若干なるも海面の上昇が確認されました(NDRRMC 2012)。
CEMIJでは、現地にメンバーを2012年2月20日から7日間派遣して、比国地方の発災直後における初動対応行動と救援活動を統括するIncident Commandがどのように実施されたかを以下の2点について即断的に調査しました。(1)発展途上国とは言え、火山噴火やサイクロンを含む自然災害多発国である比国では、初動対応行動の効率化を目的とした国際的にも認知され欧米諸国では災害時常用されている「Incident Command System (ICS)[2]」の概念を取り入れるなど具体的な改善の試みが行われてきました。その導入状況の確認を行いました。(2)2011年3月11日に発生した東日本大地震後、日本でも災害初動対応の機能強化などソフト分野を含むホリスティックな防災体制の整備が叫ばれている中、その参考になりうる活動の発掘を行いました。詳細は後ほど報告します。
[1] 比国政府の大統領直轄の指揮下の災害対応機関で、被災地にて必要な初動対応を被災した地方自治の首長とともに行う上で、地域にある全ての利用可能な資源を活用し、その総合調整や指揮を行う権限有する機関。
[2]本稿で意味するICSは、全ての即応行動を1つの包括的対応活動としてまとめ1つの指揮下で総合統括調整が災害現場に近い場所で行なわれる体制を示す。よって、被災地が必要としている様々な種類の支援を一括で効率的そして迅速に実施可能とするためにフレームワークとして作られたマネージメントツール、もしくはテンプレートである。ICS体制では、状況に応じ活動自体の内容やICSの実施体制には柔軟性と現場での裁量権を与えるものの、各機関の上位部局が保有する指揮権をある意味災害対策本部に特定なる期間の移譲を促進し、機関ごとの縦割りの縄張りを可能な限り取り除き、被災地にて収集された生の情報によって優先、選別された必要な即応行動をさまざまな機能を有する各種部隊を活用し1つの指揮系統の中で複合的に運用し対応を行うものである。現場で必要とされる各種初動ならびに増強部隊は、所属先に囚われず現場に開設されたコマンド体制下に次々と入り、1人の総括責任者の指揮とのその指揮下で行動する各部門の責任者を通じて各活動が行われる。
(写真:被害を受けた建物の状況 調査時に撮影)(写真:救援物資の配給場所に待つ被災者の方々)
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